【40代・50代の体験談】希望退職に応募し承認されない現実と転職の壁

- 募集があったけど、辞めた方がいいのだろうか?
- 辞めたら、すぐに転職できるだろうか?
- 転職したら、年収は下がるのか?
2025年も、多くの大手企業で希望退職の募集が続きました。

「希望退職に応募すれば必ず辞められる」そう思っていませんか?
筆者は14年前、工場勤務約26年のキャリアの中で希望退職に応募しました。
しかし、結果は不承認。
最終的に工場閉鎖半年前、自己都合退職という選択をすることになりました。
希望退職は、人生を好転させるきっかけになることもあります。
その一方で、40代・50代にとっては想像以上に厳しい現実が待っている場合もあります。
希望退職と聞くと、「応募すれば必ず辞められる」と思いがちですが、 実際には会社が承認しなければ成立しない制度です。
この記事では、以下を実体験をもとにお伝えします。
- 希望退職が認められなかった実体験
- 自己都合退職を決断した理由
- 40代・50代で計4回の転職をして見えた現実
今、希望退職で迷っているあなたにとって、冷静に判断できる材料になれば幸いです。
希望退職に応募した当時の状況

筆者が43歳のとき、全社員の前で社長から「2年後に工場を閉鎖する」と発表がありました。
それに伴い、希望退職の募集が始まりました。
募集人数から見ても、会社としては大半の社員を退職させたい状況でした。
提示された選択肢は、次の2つです。
1.期限内に退職(割増退職金あり。退職時期が遅くなると減額)
2.他県の工場へ異動
当時、筆者が抱えていた悩みは次のとおりです。
- 異動すると自宅から通勤できない
- 43歳での転職は厳しい
- 転職すると年収が大幅に下がる可能性が高い(当時:800万円超)
悩みに悩んだ結果、「自宅から通勤できないこと」を最大の理由に、希望退職へ応募しました。
なぜ不承認になったのか

一度は口頭で「希望退職を認める」と言われました。
しかし後日、結果は不承認。
会社から告げられたのは、「辞めるなら自己都合で」という一言だけで、理由の説明はありませんでした。
当時の業務内容から考えると、次の理由が推測できました。
- 工場閉鎖に伴い、海外工場へ生産ラインを移管するメンバーだった
- 生産技術職で異動先でも人手が必要だった
このとき初めて、希望退職は「社員の権利」ではなく、企業都合で運用される制度であることを、身をもって知りました。
自己都合退職を決断した理由

希望退職が認められなかった後、海外工場に生産ラインを移管する業務を行っていました。
その業務が忙しかったこともあり、今後についてどうするかを先送りにしていました。
しかし、工場閉鎖が近づくにつれ、悩みや不安は大きくなっていきました。
- このまま会社に残るべきか?
- 転職したら、自分のスキルは通用するのか?
- 転職したら、年収が大きく下がるのではないか?
転職経験がなかったこともあり、悩みや不安は尽きませんでした。
それでも最終的に、工場閉鎖の半年前に自己都合退職を決断しました。
理由は次の3つです。
1.異動すると、自宅から通勤できなくなる
2.今後、昇進の見込みがなく、53歳以降は基本給が上がらない
3.異動しても、将来的に再度希望退職の募集があるのではと考えた
家族と十分に話し合い、納得したうえでの決断でした。
40代での転職活動のリアル

会社を辞める決断をしてから転職活動を行っていましたが、退職日を先に決めてしまっていたため、転職先が決まらないまま自己都合退職することになりました。
結果として、無職の状態で転職活動を続けることになります。
今振り返ると、転職先を決めてから辞めるべきでした。

自己都合退職をする場合は、可能な限り「転職先が決まってから辞める」ことを強くお勧めします!
当時の転職市場は、現在ほど活発ではなく、年齢の壁もあり、書類選考すら通らない日々が続きました。
自己都合退職の場合、失業手当の支給までに時間がかかるため、貯金は減り続け、精神的にも追い詰められました。
それでも、次の「転職の軸」だけは最後まで変えませんでした。
1.勤務地:自宅から通勤できること
2.年収:600万円以上
3.職種:製造業で、生産技術職を希望
転職先が決まったのは、無職になってから6ヶ月後でした。
勤務地:自宅から通勤できること
希望退職に応募した最大の理由が、「自宅から通勤できなくなること」でした。
そのため、自宅から通勤できない会社に転職するのであれば、自己都合退職する意味がなくなります。

転職エージェントには、「自宅から1時間以内で通勤できること」を明確な条件として伝えました。
確かに、通勤時間を延ばせば選択肢は増えます。
しかし、これまで車で20分で通勤できたことを考えると、1時間以上の通勤は選びませんでした。
通勤時間が長くなることに、メリットはありません。
- 睡眠時間が短くなる
- 自由な時間が減る
- 疲労が蓄積しやすくなる
筆者はこれまで4回転職を経験していますが、最長の通勤時間は車で30分、現在は10分です。
30分と10分では、片道20分、往復で40分の差があります。
年間245日出勤(休日120日)すると、約163時間(約7日分)の差になります。
勤続年数が長くなればなるほど、通勤時間の差は「人生の時間の差」になります。
転職する際は、通勤時間を軽視すべきではありません。
年収:600万円以上
1年間の生活費を試算した結果、年収600万円を下回ると生活が厳しくなることが分かっていました。
退職前の年収が800万円を超えていたので、200万円以上下げた条件でした。
条件を下げても現実は厳しく、応募できる企業は非常に限られていました。
求人票に「想定年収:320〜640万円」と記載のあった企業に応募し、書類選考を通過して面接まで進むことができました。
面接の最後に希望年収を聞かれ、「600万円」と回答したところ、「出せても450万円が上限です」と返答されました。

このとき、「自分の価値はこの程度なのか」と、正直かなり落ち込みました。
結果は不採用でしたが、現実を知る良い経験になりました。
年収条件を下げれば、選択肢は確実に増えます。
しかし、生活が苦しくなることもまた現実です。
無職の状態では、「早く働かなければ」という焦りから、希望年収を下げてしまいがちです。
それでも筆者は、最低年収のラインだけは最後まで変えませんでした。
年収の最低ラインは、家庭環境や生活状況によって異なります。
だからこそ、事前に必要最低年収を算出し、その上で会社選びをすることが重要です。
職種:製造業で、生産技術職を希望

筆者は、これまで26年間製造業一筋で働いてきました。
そのため、未経験の職種に挑戦することは考えておらず、「生産技術職」に絞って転職活動を行いました。
転職活動を通じて分かったことは、この職種は、ある程度規模の大きい会社でないと専任が置かれないという現実です。
アウトソーシングしている企業も多く、正社員募集で、なおかつ通勤圏内の求人は非常に限られていました。
それでも筆者は、「生産技術職を続けたい」という気持ちを最後まで変えませんでした。
自分の得意分野や、やりたい仕事でなければ、長く続けることはできません。
この「職種の軸」は、転職において非常に重要です。
筆者が4回目の転職を考え始めたのは、転勤後に職種が変わってしまったことでした。
上司に何度も相談しましたが、生産技術職に戻ることは認められず、転職を決断しました。
40代・50代の転職は、簡単ではありません。
しかし、以下が重要です。
- 「転職の軸」を明確にする
- ぶれずに活動を続ける
- 可能な限り、在職中に転職活動を行う
これを徹底すれば、時間はかかっても必ず道は開けると、身をもって経験しています。
4回の転職で見えてきたこと


筆者は、40代で1回、50代で3回の転職を経験しています。
4回の転職を経験した中で、次のような現実が見えてきました。
- 転職した会社が、必ずしも自分に合うとは限らない
- 経験やスキルを活かせない配属になることもある
- 「転勤あり」と求人票に書かれている会社は、実際に転勤がある
これらは、実際に転職を経験して実感したことです。
筆者がこれまで、4回転職した経験談をお伝えします。
1回目の転職 ― 経験を活かしつつも不安に追われた
1回目の転職先では、これまで培ってきた生産技術の経験を活かすことができ、成果も出せていました。
仕事はやりがいがあり、職場環境にも大きな不満はありませんでした。
初めての転職でしたが、自分に合う会社に入社することができました。
しかし、将来的な転勤の可能性を過度に不安視してしまい、知人からの誘いをきっかけに転職を決断しました。
今振り返ると、もう少し冷静に判断すべきでした。
2回目の転職 ― 上司との相性が最悪で3ヶ月で退職を決意
2回目の転職先では、直属の上司、その上司とも価値観が合わず、業務の進め方や考え方に強い違和感がありました。
しだいに精神的な負担が大きくなり、夜眠れなくなってしまい、わずか3ヶ月で退職を決意しました。
幸いにも前職に出戻りすることができましたが、結果として6ヶ月という短い在籍期間が履歴に残ることになりました。

この経験は、今でも「転職の難しさ」を思い出させる出来事です。
3回目の転職 ― 出戻り後、2年半で転勤し業務が変化
3回目の転職は出戻りで、「転勤の可能性がある」と聞いていましたが、「実際にはないだろう」と、どこかで楽観的に考えていました。
しかし現実は甘くなく、2年半後に転勤。
運が良かったのは、転勤先が自宅から通勤可能な工場だったことです。
転勤をする際は、生産技術職に就くと聞いていましたが、実際にはその業務から外れ、仕事内容も大きく変わりました。
何度も上司に業務内容について相談しましたが、受け入れられることはなく、不満が少しずつ蓄積していき転職を決断しました。
転職を決断した後、仕事をしながら1年6ヶ月間転職活動を続け、内定を得ることができました。
そして、退職の意思を上司に伝えた際、「業務内容を変えたら、辞めずにいてもらえないか」と言われ、これまでの思いが一気に込み上げ、強い怒りを覚えました。
4回目の転職 ― 異動でミスマッチが発生
4回目の転職先では、これまでの経験を活かせる業務に携わることができ、やりがいも感じていました。
しかし、入社10ヶ月後の異動で、不得意な業務を任されるようになり、徐々にミスマッチを感じるようになりました。
何とか6ヶ月間業務を続け、上司に業務内容について相談しましたが、受け入れられずに現在に至っています。
「環境が変われば状況も変わる」 転職を重ねる中で、そう実感する場面は何度もありました。
転職を考えている人に伝えたいこと


転職先をどれだけ時間をかけて調べても、実際に働いてみるまで「自分に合うかどうか」は分かりません。
インターネット上の口コミも参考にはなりますが、あくまで一部の人の意見に過ぎません。
転職直後は、希望していた業務に就けても、異動や転勤によって業務内容が大きく変わることも珍しくありません。
また、転職エージェントの担当者から聞いていた説明と、実際の配属先や人事担当者の考えに相違があるケースもあります。
転職を考えている多くの人は、今の会社に何らかの不満があり、環境を変えることでその不満を解消したいと思っているはずです。
確かに、転職によって状況が好転することもありますが、反対に環境が悪化してしまう可能性もあるという現実は理解しておく必要があります。
転職には、必ずメリットとデメリットがあります。
大切なのは、デメリットがあったとしても、後になって 「辞めなければよかった」と後悔しない選択をすることです。
希望退職を検討している人へのアドバイス

筆者が経験したからこそ言えることです。

もしあなたが希望退職を検討しているなら、次のポイントは必ず押さえておいてください。
希望退職に応募しても全員が承認されない
希望退職は、社員が自由に選べる制度ではありません。
承認するかどうかは、すべて会社の都合で決まります。
「応募すれば辞められる」と考えていると、筆者のように不承認となる可能性もあります。
辞める前に必ず準備しておくこと

希望退職を考え始めた段階で、次の準備が必須です。
スキルの棚卸し
履歴書・職務経歴書を作成し、自分が何をしてきたのかを言語化する。
生活費のシミュレーション
毎月いくら必要なのかを把握し、最低限必要な年収を算出する。
家族との話し合い
家族の理解と同意がないまま退職すると、後々必ず問題になります。
転職エージェントの活用
自分の年齢・スキルで、どのような求人があるのかを客観的に把握する。
希望退職に応募する理由を明確にする
筆者は、「自宅から通勤できなくなること」を最大の理由として、希望退職に応募しました。

これまで4回の転職を経験してきましたが、振り返ってみると、最も自分に合っていた会社は最初に入社した会社でした。
その会社は大手メーカーの工場で、やりたい職種に就くことができ、年収も同世代と比べて高水準でした。
福利厚生も充実しており、正直なところ、すべての条件でそれを上回る転職は、いまだに実現できていません。
その工場が閉鎖してしまったことは、今でも非常に残念に思っています。
希望退職には、割増退職金という魅力的な条件が提示されることがありますが、それだけを理由に安易に応募するべきではありません。
なぜ辞めたいのか、何が一番の理由なのかを明確にしたうえで判断することが、後悔しない選択につながります。
希望退職のメリット・デメリット
希望退職には、以下のメリットとデメリットがあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 割増退職金がある | 応募しても不承認になる場合がある |
| 失業手当の支給が早い | 年齢が高いと再就職に時間がかかる |
| 環境を変える決断がしやすい | 条件が期待ほど良くないこともある |
希望退職は、人生のゴールではありません。
40代・50代が、自分の人生を取り戻すための選択肢のひとつです。
「あなたが、これからどう生きたいか」 、会社の制度に流されることなく、納得できる決断をしてください。
希望退職が認められなかったあなたへ


希望退職に応募し、不承認になったときのショックは想像以上に大きいものです。
その時は「なぜ自分だけが?」と強く落ち込みました。
希望退職が認められなかったことで、気持ちが沈み、前向きに考えられなくなることもありました。
ですが、その出来事は「人生が行き止まりになった」という意味ではありません。
むしろ、これからどう動くかを考えるための「一つの立ち止まりポイント」だと捉えてみてください。
気持ちが落ち着いたら、ぜひ一度、「自分はどんな働き方を本当に望んでいるのか」を、紙に書き出すなどして整理してみてください。
考え続け、行動し続けた先に、必ず次の道は見えてきます。
最後に 希望退職で迷っているあなたへ

筆者の経験を一言で表すなら、「希望退職は、人生の選択肢のひとつに過ぎない」ということです。
希望退職に応募するのか、それとも、このまま会社に残るのか。
どちらが正解かは、誰にも分かりません。
ただ一つ言えるのは、どんな選択をするにしても、事前準備をしておくことが何より重要だということです。
- 転職の可能性を調べること
- 生活費のシミュレーションをすること
- 家族としっかり話し合うこと
これらを行ったうえで「自分で決めた選択」であれば、たとえ厳しい状況になったとしても、後悔は小さくなります。
この記事が、今まさに希望退職を前に悩んでいるあなたの背中を、少しでもそっと押すことができていたら幸いです。

