【50代後半の実体験】定年まで数年、転職を決意した理由とその後

- 今の仕事にやりがいを感じない
- 定年前に基本給が減額する
- 再雇用で同じ仕事を続けたくない
- 再雇用で働く場合は給与が大幅に減額する

50代後半で定年まで数年。仕事にやりがいを感じられずにいませんか?
実は筆者も皆さんと同じように「仕事にやりがいがない」「定年後の生活が不安」といった悩みを抱えていました。
そんな中、思い切って転職を決意し、1年6ヶ月の長きにわたる活動の末、ようやく新しい会社に入社することができました。
50代になると、転職は「ほぼ無理」と世間では言われていますが、決して諦める必要はありません。
なぜなら、筆者は40代後半から4回の転職を経験していますが、その内の3回は50歳以降だからです。
この記事では、昭和から39年工場勤務を続けてきた50代後半の筆者が、転職した理由とその後についてお伝えしていきます。
この記事を読むことで、定年前に転職を考えている人の解決につながる糸口になれば幸いです。
転職を決意した5つの理由

定年まであと数年という時期に、転職する決意をするのは大きな決断です。

私が転職を決意するに至った5つの理由は以下です。
- 業務内容の不満
- 人間関係の悩み
- 残業と休日出勤が多い
- 定年前に給与が減額する
- 継続雇用になると大幅に給与が下がる
それぞれ解説します。
業務内容の不満
今回転職を考え始めたのは、業務内容の大きな変化によるものです。
30年間、4回転職しても一貫して携わってきた新規設備導入や設備保全などの設備に関する業務に、転勤を機に携われなくなりました。
当初は、これまでの経験を活かせる設備に関する業務に就けると聞いていましたが、いざ赴任してみると、「工場全体のマネジメント」という経験のない業務を任されることになりました。
転勤前に聞いていた内容と異なり、設備に関する業務ができなくなったことと経験のない業務に戸惑い、やりがいを見出せなくなっていきました。
年に2回ある上司との面談では、設備に関する業務に戻りたいと何度もお願いしました。
しかし、「工場全体のマネジメントを担う人材がいない」と毎回同じ答えが返ってくるばかりでした。
転職先が決まり、辞めることを上司に伝えた際に「設備に関する業務ができるようになったら辞めないでもらえるか」と言われました。
何度お願いをしても受け入れてくれなかったことが、筆者が辞めると伝えた途端、まるで手のひらを返したような言葉が返ってきたときに正直がっかりしました。
人間関係の悩み
業務内容にも不満はありましたが、工場全体のマネジメントを任されたことを機に、人間関係も上手くいかずに悩みました。
現場との意見の相違は深刻で、何か依頼しても、最初はなかなか受け入れてもらえず、何度も同じお願いをする必要がありました。

男性社員2人と女性社員1人からの高圧的な態度にも悩まされました。
彼らの態度は私だけでなく周囲にも向けられており、どう対応すべきか悩みましたが、どうすることもできませんでした。
業務内容の不満と人間関係の悩みが重なり、転職という道を選ぶことを決意しました。
残業と休日出勤が多い
工場の人手不足が深刻な状況で、管理職のため残業代はありませんが、毎日3〜4時間の残業が常態化していました。
残業時間が長すぎて、平日は家族との時間がほとんど取れませんでした。
業務が終わらない場合は、休日出勤して対応するしかなく、年間休日120日のところ、実際に休めたのは100日以下でした。
管理職でありながら代休を取得できたものの、3年間で37日もの代休が未消化となっていました。
また、法定の年5日の有給休暇も、年度末にまとめて取得する形となり、プライベートな時間を十分に確保できない状況が続いていました。
50代後半になって、このような状況になるとは想像していなく、働く意義を見失いました。
定年前に給与が減額する
労働条件通知書で、57歳から基本給が5%下がることを承知の上で転職しました。
実際にその時期が近づき、物価高や住宅ローン返済を考えると将来への不安が募ります。
特に、住宅ローンの返済が定年退職後も残っており、給与の減額による生活への影響が大きいのではないかと心配になりました。
給与の減額が現実味を帯びるにつれ、お金に対する不安の感情が強まってきました。
継続雇用になると給与が大幅に減額する
多くの企業では、定年退職後に再雇用になると、給与が大幅に減額するケースが多いことを知っていました。
筆者の場合、転職時に確認していなかったため、約6割まで減額するという事態に直面しました。
再雇用は1年ごとの有期契約であり、契約更新のたびに基本給が約5%ずつ減額されることも、転職時に十分確認していませんでした。
そのため、64歳時点では、定年退職前に基本給が減額する前と比較して約5割まで減額してしまいます。
基本給が大幅に減額されますが、再雇用後も定年退職前と同じ役職で、同等の業務内容と責任が求められるケースが一般的な会社でした。
つまり、業務内容は変わらないにも関わらず、給与が大幅に減額するという状況に置かれることになります。
このような状況下では、モチベーションの低下は避けられません。
60歳が近づき、定年退職について真剣に考えるようになり、この問題について改めて深く考えさせられました。
転職のメリット

転職をすることで、以下のメリットがあります。
- これまでの経験や知識を活かすことができる
- 給与の増加ができる
- 人間関係のリセットで新しいスタートができる
- 経験とスキルを活かせる仕事に就ける
順番に解説します。
これまでの経験や知識を活かすことができる
筆者は50代後半の高卒で、工場勤務経験は39年。
30年間に渡り、生産技術や設備保全に携わってきた経験や知識は、転職した工場で大いに活かされています。
例えば、過去のトラブルシューティングの経験により、故障した設備の復旧をスムーズに行い、生産への影響を最小限に抑えることができました。

自分では当たり前のことだと思っていた経験や知識は、会社にとってはとても貴重です。
これまで4回の転職を経験する中で、毎回「自分の経験や知識が通用するのか」という不安はつきまといました。
しかし、一貫して生産技術や設備保全の分野でキャリアを築いてきたこと、そして新しい技術を学ぶことを怠らなかったことが、新たな環境でもスムーズに活躍できる大きな要因となっています。
給与の増加ができる
能力や経験によっては、前の会社よりも高い給与で雇用される可能性があります。

筆者の場合は、少額ではありますが前職より給与が増加しました。
転職した会社では、62歳まで給与は減額されず、役職者であれば65歳定年まで給与が維持されます。
もし、前職に残り定年を迎えていた場合、基本給は56歳の時の約6割になり、64歳では約5割まで減額することになっていました。
今回の転職によって、65歳までの総収入は、転職前と比較して8年間で約1500万円増加する見込みとなりました。
人間関係のリセットができる
会社を辞めることで、悩んでいた人間関係のリセットができ、心身ともにリフレッシュすることができます。
人間関係は、自分から良好に変えようと思っても、必ずしも上手くいくとは限りません。

他人を変えることはとても難しいことです。
これまで4回の転職を経験する中で、どの職場でも人間関係は悩みの一つでしたが、前職は特に苦労しました。
休日も人間関係のことで悩んでいたため、心身ともに疲弊していました。
転職後は、人間関係のストレスから解放され、仕事に集中できるようになっただけでなく、プライベートも充実させることができるようになりました。
経験とスキルを活かせる仕事に就ける
50代後半の転職は、長年培ってきた経験とスキルを最大限に活かし、よりやりがいのある仕事にシフトできるという大きなメリットがあります。
企業は、即戦力として、これまでのキャリアで培った豊富な知識や経験を求めています。
そのため、定年まであと数年の転職であっても、経験やスキルを活かせるポジションが用意されているケースがあり、未経験の分野にいきなり挑戦させられるリスクは比較的低いと言えます。
実際に筆者は、これまでの経験を活かせる自分のやりたい仕事に就くことができました。
自分の強みを活かして仕事に取り組めるため、日々やりがいを感じ、仕事に対するモチベーションも高まっています。
転職のデメリット

50代後半の転職には、メリットだけではなく多くのデメリットも存在します。
転職のデメリットは以下です。
- 転職活動に時間がかかる
- 年齢による壁があり、採用企業が少ない
- 新しい会社が自分に合うか、入社してみないとわからない
- 一から人間関係の構築をしなくてはならない
- 給与が減額する
順に解説します。
転職に時間がかかる
若い世代に比べて、転職活動に時間がかかる傾向にあります。
筆者の実体験ですが、初めて転職した46歳の時は6ヶ月間かかりました。
4回目の転職となる56歳では、1年6ヶ月間を要し3倍の期間がかかっています。
複数の転職エージェントに登録しましたが、50代後半になると紹介していただける案件がとても少なくなります。
筆者の場合は、給与が減額しないことを必須条件としていましたので、選択肢がとても少なく、なかなか応募をしたいと思える企業がありませんでした。
そんな状況のなか、転職サイトで検索し、筆者が考えている条件で厳選して32社に応募しました。
筆者が探して応募した企業は、「経験・スキル等を総合的に判断し、同社の定める応募要件に合致していない」などの理由で、1社も面接に進むことができませんでした。
筆者は長年工場勤務で、生産技術や設備保全の業務を30年続けてきています。
生産技術や設備保全を希望していましたが、50代になると経験が豊富でも雇用してくれる企業は非常に少ないのが実情です。
複数の転職エージェント会社から、アウトソーシング会社を勧められることが数多くありました。
アウトソーシング会社に入社すると、その会社の正社員で入社できるものの、数年毎に勤務する会社が変わり、都度転職と同じ状況になる可能性があるため、筆者はその選択はしませんでした。
この年齢の転職活動は、想像以上に時間がかかるかもしれません。でも、焦らずに、今の仕事を続けながら、じっくりと自分のペースで進めていくのがおすすめです。
筆者の初めての転職は46歳でしたが、その時は転職する会社が決まる前に会社を辞めてしまい、6ヶ月間無職で無収入になり、貯蓄したお金を大きく減らすなど、大きな支障がありました。
また、会社を辞めてから転職活動をすると、早く決めなくてはいけないという焦りから、自分が希望していない条件の企業で妥協してしまう可能性が高いためお勧めできません。
ただし、心が病んでしまい、仕事を継続していくことが困難であれば、一旦会社を辞めてから今後を考えることも必要です。
心の問題を放置し、状態が悪化してしまった場合、復帰するのにとても時間がかかります。
年齢による壁があり、採用企業が少ない
年齢がネックとなり、若い世代と比較し採用企業は少ないのが現実です。
企業は採用活動に多額のコストがかかるため、できるだけ長く働いて欲しいと考えています。
50代後半になると、定年年齢が近く長い期間働いてもらえないことから、積極的に採用しなくなる傾向があります。
また、管理職採用になると高い給与を支払わなければならなくなり、人件費が高額となることから採用が難しくなることもあります。
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果」によると、50代の転職入職率は、50〜54歳の男性で5.6%、女性で9.0%、55〜59歳では男性で6.6%、女性で7.6%となっています。
50代男性の転職入職率は5.6〜6.6%ですので、非常に狭き門になっています。
新しい会社が自分に合うか、入社してみないとわからない
新しい会社が自分に合うかどうかは、実際に働いてみないと分からない。
これは、筆者が4回の転職を経験して痛感していることです。
企業のホームページや転職サイトの情報だけでは、実際の職場環境や人間関係、業務内容の細かい部分までは掴みきれません。
特に、企業文化や社風といった、数値化しにくい部分については、実際に働いてみないと分からないことがほとんどです。
工場内のことについては、現場に入らないと分からないのが実情です。
筆者が知人の紹介で2回目に転職した会社では、事前調査不足が原因で、社風や人間関係に馴染めず、強いストレスを感じながら仕事をしていました。
転職して3ヶ月が経過した頃から、心身ともに不調をきたし、半年で退職する道を選びました。
この経験から、事前にしっかりと情報収集を行い、ミスマッチを最小限に抑えることの大切さを学びました。
一から人間関係の構築をしなくてはならない
新しい職場では、一から人間関係を築いていかなければなりません。
これまでと全く異なる職場環境や文化に慣れながら、人間関係を築いていくのはとても大変です。
周囲の社員の方々は、筆者が新しいメンバーであることを意識し、一定の距離を置いて接してくることが多いです。
こちらから話しかけるタイミングも難しく、打ち解けて接するようになれるには時間がかかります。
新しい仕事に慣れると同時に、人間関係も構築しなければならず、50代後半になると、精神的な負担は想像以上に大きいです。

今回の転職では、職場で容易に話せる関係を築くまでに約3ヶ月かかりました。
給与が減額する
厚生労働省の令和5年雇用動向調査結果によると、令和5年1年間の転職入職者の賃金変動状況は、55~59歳では前職に比べ「増加」した割合は27.7%、「変わらない」の割合は37.5%、「減少」した割合は34.3%でした。
40〜44歳までの賃金減少は20%台ですが、45〜49歳以上になると55〜59歳までは30%台と年齢が高くなるほど減額になる割合が高くなっています。
実際に転職して変わったこと

実際に転職してみて、大きく変わったことは以下の通りです。
- やりたい職種に就けた
- 人間関係のストレスが激減した
- 仕事に対するモチベーションの向上
- ライフスタイルの変化
順に解説します。
やりたい職種に就けた
転職した工場では、筆者がやりたい職種である「生産技術職」に就くことができました。
生産技術職は30年経験してきて知識も活かすことができ、職種に対するストレスはなくなりました。
久しぶりにCADで設計をして自分で設備改造を行い、作業効率が良くなったり、作業が楽になることを実感すると仕事に対する達成感があります。
人間関係のストレスが激減した
転職後、大きな悩みであった人間関係のストレスが劇的に減りました。
転職当初は、新しい環境に慣れるのに苦労し、名前を覚えることやコミュニケーションに戸惑うこともありましたが、3か月ほどで周囲との関係が円滑になり、ストレスが少なく仕事に取り組めるようになりました。

転職前は、人間関係の悩みが頭から離れず、休日もリラックスできずに過ごしていました。
転職後は人間関係の悩み事が少なくなり、心身ともにリフレッシュできるようになりました。
思い切って転職したことで、こんなに生活が変わることに驚いています。
転職は、自分の人生を大きく変えるきっかけになることを実感しました。
仕事に対するモチベーションの向上
自分が得意で好きな業務ができるようになり、仕事に対するモチベーションが向上しました。
転職前は、日々の仕事に面白みを見出せず、ただ業務をこなしているだけの状態でした。
今は自分の経験や知識を活かして、会社に貢献できていることを実感し、充実してモチベーションが格段にアップしています。
転職により、仕事に対して1度リセットできたことも大きいです。
ライフスタイルの変化
転職後、残業が大幅に減って休日出勤がなくなり、プライベートの時間が増えたことで、ライフスタイルが一変しました。
転職前は帰宅が遅く、平日は一人で夕食をとることがほとんどでしたが、現在は家族と一緒に食卓を囲むことができるようになりました。
その日の出来事を共有したり、お互いの話を聞く時間を持つことができるようになっています。
また、土日も会社の仕事に縛られることなく、自由に予定を立てられるようになったため、趣味のゴルフ練習や体力づくりに励む時間が増えました。
休日は、仕事のことを気にせず、自分のやりたいことに集中できるようになり、心身ともにリフレッシュできています。
特に、ウォーキングを習慣化することで、体力維持にも繋がり、健康的な生活を送れるようになりました。
50代後半という年齢を考えると、残された時間は限られています。
今のうちに、やりたいことを精一杯楽しみ、充実した日々を送りたいと思っています。
まとめ
この記事を読んでいただいてるあなたも転職を考えていますか?
50代後半での転職は決して簡単なことではありませんが、新しい自分に出会うチャンスでもあります。
メリットとデメリットをしっかりと理解し、自分にとって何が大切なのかを考えながら、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
この記事が、あなたの転職活動の参考になれば幸いです。